明治45年、善光寺のお膝元で「信濃中牛馬合資会社」という運送会社の社屋として誕生した赤レンガ造りの西洋館。それが『楽茶れんが館』の建物です。
当時から“小さいながらも作りは一流”といわれたこの名建築は、のちに国登録有形文化財となり、昭和34年からは善光寺郵便局として、平成3年~14年までは長野市物産館として利用されました。物産館の閉鎖に伴ない(株)まちづくり長野が再生・管理運営を担うこととなり、現在はレストラン&喫茶『楽茶れんが館』として周辺住民や観光客の方々に親しまれています。
趣のある空間でゆったりとお食事をお楽しみください。
喫茶のみのご利用もお気軽にどうぞ。
※ランチメニューの一例です
※セットドリンク+300円 コーヒー・アイスコーヒー・ウーロン茶(ホットorアイス)・ミルク(ホットorアイス)
<ア・ラ・カルト 11:00~13:30(ラストオーダー)>
※全品サラダ付き
<スイーツ>
(ケーキ/ショコラ(チョコ)orフロマージュ(チーズ))
(セットドリンク/コーヒー・アイスコーヒー・紅茶・ウーロン茶(ホットorアイス)・ミルク(ホットorアイス))
(バニラor抹茶or黒ごま)
長野が誇るフランス料理の巨匠・北村秀世シェフのフレンチ料理フルコースをご堪能いただけます。ご予約は、お電話(026-231-6001)にて承っております。
メニュー
冷製前菜/温製前菜/お魚料理Ⅰ/お魚料理Ⅱ/肉料理/デザート/コーヒー
※詳細はご予約の際にお尋ねくださいませ
<北村秀世>
『奥志賀高原ホテル』総料理長を18年間勤め、現在は軽井沢『Contemporary現代』の総料理長。信州が誇るフランス料理の巨匠として、数々の料理専門誌にも登場している。日本エスコフィエ協会会員、日仏クラブ・パルロン会員、トック・ブランシュ国際倶楽部会員。長野フランス料理スーパーバイザー。
※メニューの一例です
2ヶ月~3ヶ月に一度、北村シェフが贈る一夜限りの特別メニューをご堪能いただけるお食事会を開催しております。日時はその都度お知らせページにてご案内いたしますので、至福のひとときをどうぞ楽茶れんが館にてお過ごしください。
メニュー
冷製前菜/温製前菜/お魚料理Ⅰ/お魚料理Ⅱ/肉料理/デザート/コーヒー
※詳細は当日お渡しいたします
楽茶れんが館の建物は明治45年当時の建築特徴が随所に見られ、門前町の近代化を物語る建物として重要な存在となっています。その細部は建築に携わった人々の丁寧な仕事ぶりが光り、小さな建物ながらも一流の構造を誇っています。
<1.外壁>
トレードマークの赤レンガは、表面に薄く釉薬を塗って通常より高温で焼き上げた「施釉煉瓦(せゆうれんが)」を使用しています。明治末期から大正期に広く使われるようになったレンガで、強度があって雨や凍結にも強く、100年以上経った現在でもその美しさは健在です。設計者であり信濃中馬合資会社頭取でもあった中沢与左衛門(※1)が実業家仲間の岡本孝平(※2)の煉瓦会社から譲り受けたものですが、この会社では軽井沢の碓氷第三橋梁(通称:めがね橋)の煉瓦も製造していたそうです。(めがね橋と同一の煉瓦であるかは不明)
また、土台から腰部分にかけては御影石が使用されています。
※1中沢与左衛門
信濃中牛馬会社頭取、長野商工会議所の初代会頭。
宿間屋、酒造業も営む豪商で、楽茶れんが館向かい側の五明館も中沢与左衛門によるものです。
※2岡本孝平
実業家、信濃毎日新聞社の初代社長。
<2.意匠>
桟瓦葺(さんかわらぶき)の切妻屋根(きりづまやね)に取り付けられた「ドーマー窓」は、ヨーロッパ建築によく見られる意匠です。明り取りを目的としていますが、長野市所有になった際の補修で、りんごの木のステンドグラスが窓ガラスとして加えられました。また、側面の土台周りの換気口上部に至るまで「水平アーチ積み」が施されています。今では手間がかかって敬遠されるかまぼこ状の目地仕上げも、当時の職人の丁寧さを物語っています。
実は建物が建てられた当時は、全国の問屋で作った「内国通運会社(現・日通)」に善光寺宿の旧問屋勢力が加わって長野駅前に進出した時期でもありました。
鉄道と組んで広域運送へ業務を拡大していく旧問屋勢力に対し、私設鉄道設立の許可が下りずに地回りの運送に徹せざるを得なくなった「信濃中牛馬合資会社」は、まだ昔ながらの商家が軒を連ねていた善光寺門前町に、この立派な社屋を建てたのです。
社屋としての目立ちや荷物の安全を念頭に置いて…ということもあるでしょうが、当時木造社屋だった駅前の運送会社に対して「こちらは一段上の赤煉瓦!」と見栄を張ってみせたのではないかとも言われています。
《参考資料》
「長野県史 美術建築編」「信州の近代遺産」(上條宏之監修/しなのき書房)
「信州の西洋館」(藤森照信/信濃毎日新聞社)
「善光寺大門町 温故知新物語」(大門町)
「百年の歩み」(信濃毎日新聞社)