活動記録

2025年04月03日 【開催レポート】西鶴賀まちのすがた座談会

2025年3月30日(日)13:30~16:30 

西鶴賀のこれからの「町のすがた」について、町の人、地主さん、銀行、行政、建築士会ながの支部メンバー、エリアリノベ関係者などで話し合うキックオフ的座談会を開催しました。

 

 

2019年にスタートした『西鶴賀エリアリノベーション』は、今年で7年目を迎えます。

こつこつ続けてきたことが一気に芽吹き始め、拠点の「9軒長屋」はもうじき満室に。「西鶴賀町へお店を出したい」というお問い合わせもぐっと増えてきました。

 

 

一方で、ご案内できる物件と資金、マンパワーが圧倒的に足りない現実もあります。

「ああすればいいんじゃない?」「こうなったらいいな」

と思うのは簡単だけど、実現にはお金や専門人材、手配や調整などの時間も不可欠。

町を歩けば空き家もたくさんありますが、「貸せない空き家」や「解体される空き家」の背景にも、それぞれに事情が……あったりするんですよね。

 

 

西鶴賀エリアリノベーションの拠点、9軒長屋は幸運にも大家さんや入居者さんに恵まれ、建築士会ながの支部メンバーのほぼ手弁当の働きや、身銭を切った投資のおかげで「いよいよこれから…!」という流れになりつつありますが、

さて。

このほぼ想いだけで成り立っているキリキリ舞い状態は「継続」することができるのでしょうか?

近く、大幅な建物解体の予定も控え、このまま放置したら解体せざるをえないような空き家も残る西鶴賀町で、どうすればエリアリノベーションの流れを広げていけるのでしょうか……

 

 

なので、

誰が悪いとか、
誰か「だけ」が動けばいいとか、
誰かが我慢(負担)すれば解決
という話ではなくて、

まずは関係者全員で膝をつき合わせ、「こういうことならできる」という「自分事」を全部テーブルに出してみて、町の課題を解決していくための方法をみんなで模索しながら動いていくための場を設けようじゃないか、ということで今回の開催に至りました。

 

 

会は主催者「長野市中心市街地活性化協議会」の事務局・(株)まちづくり長野の越原タウンマネージャーのあいさつからスタート。

2019年になぜ西鶴賀町でエリアリノベーションを行う流れになったのか?などの経緯や、まちづくりは「らしさ」を磨くことであり、西鶴賀町の街並みやしっかりとした町内コミュニティーの存在は、中心市街地でも貴重な存在であることなどが話されました。

 

 

つづいて一言いただいたのは、西鶴賀町の田中区長(エビスパン)。

西鶴賀エリアリノベーションを見守る想いや、今後のためにも地元とのコミュニケーションをより大切にしていってほしいという願いなどをお話しいただきました。

 

 

渾身の「西鶴賀エリアリノベーション事業概要 ~泣く泣く30分に凝縮バージョン~」を発表したのは、6年間、西鶴賀エリアリノベーションの最前線で飛び回ってきた長野県建築士会ながの支部の久米支部長。

 

 

「建築士会ができること」と題して事業がスタートする際に説明していた

「ツナゲル」「アドバイス」「アソブ」

を西鶴賀町のさまざまな人や建物の間に立って6年間続けてきた事例や、

 

 

町の方々と再確認した「町のお宝」と、未来像。

今後、西鶴賀町で「エリアリノベーション」をさらに波及させていくための『大事なポイント』などをお話しいただきました。

 

 

『エリアリノベーションの大事なポイント』

◎エリアの構想やコンセプトを明確に設定する

地域のお宝をみんなで共有する

※みんなで守り育てる物を明確にする「地域住民の誇りと自信を醸成する」

※町の歴史を、語り・記録し・つなげる「次世代への継承を図る」

 

◎情報をみんなで共有し、外に発信する

⇒まちの「こと」を自ら実践する

(地域の公園や樹木の管理/雪かき/ゴミの管理/イベント開催/まちあるき)

⇒瓦版「西鶴賀便り」で地域をつなぐ

 

◎エリアの店舗を“みんなで”応援 店同士も連携していく流れ

⇒運命共同体感覚

⇒瓦版で地域をつなぐ(人、お店、歴史、人情)

⇒西鶴賀の外から応援隊を作る

 

そして、参加者の紹介や休憩をはさみつつ後半の部に突入します。

 

後半は、建築士会ながの支部の内山氏から「静岡県静岡市人宿町」の事例・動画紹介や、視聴のポイント解説がありました。

 

 

 

 

先出の話なども踏まえた上で、A~Dチームでグループディスカッションを行います。

『西鶴賀の今後のために、自分(たち)はなにができるか』

ということをそれぞれに出し合いました。

(ルール:自分はやらないけど誰かがやればいいはNG/過去や現状への批判・評論のみはNG/大上段に構えなくても小さな事でOK)

 

 

メンバーの自己紹介から発表準備まで、およそ1時間のグループワーク。

真剣に、時に笑顔も交えながら、あっという間に時間は過ぎ、

土倉氏(長野県建築士会ながの支部前支部長)のファシリテーションのもと、最後はみんなで机を囲んで「どんな “できる” が集まったのか」の交換です。

 

 
【Aチーム】

【Bチーム】

 【Cチーム】

 

【Dチーム】

 

いくつかの意見やアイデア、質問などが交わされ、

西鶴賀に新たにお店を開いた方や、これから開こうとされている方から「なぜ西鶴賀だったのか?」などのお話しも伺いました。

 

 

最後は久米支部長からのひとことや、土倉前支部長の本日のまとめの話があり、「今日の内容を踏まえた勉強会を7月頃に開催していきたい」という旨もアナウンスされて、解散となりました。

 

 

西鶴賀が、みんなが想う“理想のまちのすがた”になっていくために「自分は何ができるのか」。

強制できることではありませんし、それぞれに生活や仕事やさまざまな事情がある中で、全員が同じ量と質で関わることは不可能なことだとも思います。

ただ、今後「西鶴賀エリアリノベーション」を町全体に広げていくならば、「西鶴賀を取り巻く人たちがどれだけみんなで同じ町のコンセプトを描き、当事者意識を持った協力体制を築いていけるのか」というのも大きなポイントになってくるのではないでしょうか。

今回の座談会はあくまで「キックオフ」。

この機会を踏まえ、どう動いていくのか。

西鶴賀町エリアリノベーションの転換期とも言える、第二章が始まります。

 

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